言語の違い

日本語しか話せないときは、まったく理解できなかったけど、どうしても訳すのが難しい言葉というのがあります。多国語話す人には当たり前の話かもしれませんが。原語と訳語両方に同じ意味の言葉があればいいけど、全く同じ意味の言葉が存在しないとき、あるいは、その言葉の概念が存在しないとき、たった一つの言葉を説明するのに、たくさん言葉を重ねなくてはいけません。
有名なのは、「よろしくお願いします」。中国語とかにはそういう言葉が存在するみたいですが、英語とかには同じ意味の言葉がなく、通訳者が困るという話を聞いたことがあります。ブルガリア語でも、確かに説明しづらいです。あえて「よろしくお願いします」を説明するなら、「事前のありがとう」かな。

そんな言語の違いの中で、とてもとても輸入したい日本語が「めんどくさい」です。ないんです。「めんどくさい」。その言葉を使うシチュエーションを回避していればいいのでしょうが、とっても便利な言葉なんですもの。「めんどくさい」って。
めんどくさがりの産物で、うっかり良いものができてしまった場合、逆に失敗してしまった場合に、「めんどくさかったから」の一言で説明したいところを、「怠け者なもので~」とか、「複雑なことをしたくなかったから~」とか説明するけど、なんだかニュアンスが違う!ただただめんどくさかっただけなの!と思うのですが、ピッタリな言葉が見つからず。一番近くて短い「怠け者」を使うと、「君は怠け者じゃないよ」ってフォローしてくれることが多いのだけど、「ありがとう、でもね、そうじゃないの」って…。

逆に日本に輸入したいなあと思うのは、英語でいうところの”Will see”、ブルガリア語なら„Ще видим“(シュテ ヴィディム)です。意味は、「どうなるか分からないけど、まあ、そのうち分かるよ」的なニュアンスですかね。日本語に訳すときには、「なんとかなるよ」みたいな?でも、日本語で家族や友人と話していて、この言葉を使いたいときに、「そのうちわかるよ」も「なんとかなるよ」もしっくりこない!もっと、不明確で無責任なそれでいて、希望がないわけでもない雰囲気なのに!

そんな中で、ブルガリア語を話す非ブルガリア人の友人たちとの間で時々生じる現象が、造語です。
名詞と動詞の変形の規則とかあるから、適当に言ってれば正しい単語を作れてしまったりするので、調子に乗っていると実在しない単語をうっかり作ってしまったりします。もしくは、存在しないだろうな~と思いつつ、言ってみたり(それで実在する単語だったということも多々ありますが…)。日本語の「~する」「~る」みたいなものですが、そこまで応用が広くないので、たまに聞きとがめたブルガリア人に訂正されたりします。でも造語があまりにピッタリすぎて、正しい単語を受け入れづらかったり…。
この間友人が作った言葉がとっても面白かったので、ちょっぴりおすそ分け。
ブルガリア語で掃除機のことを„прахосмукачка“(プラホスムカチュカ)って言います。ちゃんと覚えるのに3年くらいかかりました。「掃除機をかける」と言いたいときには、日本語のように、別の動詞で補って文章にするのですが、その友人の母語では「掃除機をかける」という動詞があるそうで。プラホスムカチュカを動詞風にして→プラホスムカチュカム(1人称の形)(ムが増えただけ)にしてました。確かに簡単!でもそれはないよ~と突っ込んでました。でも、日本語に「掃除機をかける」専用の動詞があったら違和感がないんだろうなと思いつつ、「掃除機る」?いや、それはないですね。